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3話 彼の葛藤と、暴かれる本性

作者: みみっく
last update 最終更新日: 2025-09-04 02:17:47

 ん? いやいや……俺に素の姿を見せて油断でもさせようって企みですか?

 ユイトは、警戒をさらに強めた。彼女が素の顔を見せるなど、ありえない。この表情も、何かの演技に違いない。そう決めつけ、身構える。

 そんな彼の思考をよそに、ミカは屋上へ続く階段に腰を下ろした。ユイトは警戒して距離をとり、踊り場の隅の壁に寄りかかっていた。

 おいおい、そこに座られると……スカートの中がチラッと見えるのですが?

 ユイトの視線が、思わず彼女の足元に引き寄せられる。座り込んだことで、膝上のスカートが少しめくれ上がり、白く滑らかな太ももが微かに露わになっていた。

 彼女はそれに気づいていないのか、無防備な様子で、はぁ、と再びため息をつく。その姿は、確かに可愛らしかった。

 しかし、ユイトの心は、その可愛さに騙されてはいけないと、必死に警告を鳴らし続けていた。

「ユイトくんも座ればぁ? もう少し、ここでゆっくりしたいから……もうちょっと付き合ってよ」

 ミカが、誘うように階段を優しく手で叩いた。その声は、どこまでも甘く、ユイトを誘惑するように響いた。

 ユイトは、その言葉に逆らうこともできず、警戒しながらも、彼女が座る階段から少し離れた踊り場の隅の床に、壁に背中を預けるようにして腰を下ろした。

 すると、さらに……。

 チラッとどころか、白とピンクと赤のチェック模様のショーツの模様まで、しっかりと見えてしまう。ユイトの心臓が、ドクンと嫌な音を立てた。

 あぁ……これで、「下着を見せたんだから協力しなさいよ」とか言って脅してくる気か?

 彼女の全ての行動が、計算づくしに見えた。この無防備な姿も、きっと罠なのだろう。ユイトは心の中で反発する。

 俺は「好きで見たんじゃないし……」と言って断るからな。

 彼女の卑劣な脅しに屈するつもりは毛頭なかった。

 ユイトが視線をそらすと、ミカは小さく満足げに微笑んだ。その様子から、彼女が何かを企んでいることは明らかだった。

 ユイトは、これから彼女が何を仕掛けてくるのか、じっと身構えていた。

「私って、負けず嫌いで独占欲も強くてさ……色々と大変なんだよね。うぅーん……はぁ……」

 ミカは、ゆっくりと両腕を上げて伸びをした。その細い身体がしなやかに反り、制服のシャツの裾から白い肌がちらりと覗く。

 先ほどまでの疲労はどこへやら、リラックスしたような表情でユイトを見つめてくる。

「ふぅー、なんでだろ……ユイトくん見かけて誘っちゃったけど……正解だったかもなぁ〜リラックス出来ちゃった! えへへ♪ また頼んでも良いかな?」

 彼女は、無邪気な子供のようににこりと笑う。その愛らしい仕草に、ユイトは不気味さを感じていた。

 あれ? 今のところ……特に脅されてない? これからか?

 下着を見せたことについて、一切触れてこない。拍子抜けするユイトの思考をよそに、ミカは追い打ちをかけるように続けた。

「いや、他の女子とか、男子がいるだろ?」

「……わたしの話を聞いてたぁー?」

 もう少し……足を開いてくれたら……割れ目が……見えんのに。広げる訳ないか……あはは……

「ん? んっ……しょっと……」

 ミカが足を開き床に落ちていた何かを拾った。今の動きで微妙にショーツが割れ目に食い込み俺の視界のエロ差が格段に上がった。ミカの……割れ目!?

「これ、ユイトくんのブレザーのボタンかなぁ?」

 ミカの視線が俺のブレザーを見ていた。確認をすると、落ちた時の衝撃で取れたのかボタンが一つ無くなっていた。

「あー悪い。ありがと」

「ううん。これで、貸し借りナシのチャラね♪」

 ミカが可愛い笑顔で言ってきた。いや……貸し借りナシどころか……良いものを見せてもらえてご褒美付きだったな。思ったよりも良いやつなのかもな? 今のところは……

「あ、あぁ……ま、また来たかったら、声を掛けて」

「うん。その時は、よろしくねっ」

 その後、別々に教室に盛ろうとしていると俺が好きな女の子が向かいから歩いて来ていた。

  ふんわりとウェーブのかかった栗色のロングヘア。大きくて澄んだ瞳は、いつも優しげに微笑んでいる。制服はいつも清潔で、スカート丈も校則通り。背筋を伸ばし、ふわりと揺れる長い髪を揺らしながら歩く姿は、まるで学校の廊下を花畑に変えてしまうかのようだ。彼女の明るく屈託のない笑顔は、いつも周囲を和ませている。

 誰にでも分け隔てなく接し、困っている人がいれば、すぐにその手を差し伸べる。無理をしているわけではなく、心からそうしたいと思っているのがわかるから、誰もが彼女を慕う。彼女の周りには、いつも自然と人が集まっていた。

「あ、ユイトくんだ。ね、どこいってたのかなー?」

 え? 俺を探していたのか? 何か用があるのだろうか。こんな風に声をかけられるのは珍しい。

「ど、どうしたの?」

「ううん。どこに行ってたのかなーって……思っちゃっただけだよ。昼休みは、いつも教室にいるでしょ?」

 俺のことを見ていてくれたのか。その言葉が嬉しくて、胸が高鳴るのを感じた。

「気分転換で、ちょっと歩いてただけ……かな」

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